映画に感謝を捧ぐ! 「ブラック・ムーン」

 映画感謝人GHMです。

 今回はルイ・マル監督の「ブラック・ムーン」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 不思議な世界に翻弄される女性の運命を描いた本作は

 美術館巡り感覚で映画を見ることを要求する挑戦作であります。

 台詞・会話による状況説明を最小限度にとどめ

 「そこにある事象」のみを見せることに徹したストーリーと

 「童話の挿絵」を思わせるような映像表現が一体となる光景は

 私に「ヒロインと共に不条理世界を流離う」感覚と

 「事象の裏に秘めた真意」について考える時間をもたらしました。

 (唐突さの中に神秘性を宿す幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「思考能力・想像力を鍛える」ために生を受けた

 作品であると言えるでしょう。

 娯楽的映像・音楽に背を向け続ける精神力と

 作劇の定番要素をほとんど使うことなく「物語」を作り出そうとする

 実験精神に彩られた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。