映画に感謝を捧ぐ! 「優しき殺人者(1952年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。
 
 今回はハリー・ホーナー監督の

 「優しき殺人者(1952年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 メル・ディネリの戯曲「The Man」を

 もとにして1952年に作られた本作は

 倹約的かつ技巧的なスリル&サスペンスに

 彩られた巻き込まれ映画であります。

 空間&登場人物数+暴力描写を巧みに抑制し

 最小限度の説明台詞&映像技と

 R・ライアン&I・ルピノの冷熱絡み合う名演によって

 スリル&サスペンスを高めていく

 ストーリー&演出、キャラクター造形は

 私に映像作品における「適正なスケール感&スピード感」の

 重要性を世に知らしめる教科書的存在と

 舞台技法と映画技法による共同戦線の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (不安要素を残しながらも一定の解決を示すことによって

 万事解決のハッピー・エンドとは異なる

 苦味を持った幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「空間限定型異常心理劇入門」の

 一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 劣等感&不安定な記憶によって狂気へと誘われた男と

 戦争で夫を失いながらも周りの人々に支えられ

 たくましく生きようとする女が織りなす心理戦を

 陰鬱且つ軽快に描いていく本作と

 生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。