映画に感謝を捧ぐ! 「ある戦慄」
映画感謝人GHMです。
今回はラリー・ピアース監督の「ある戦慄」に
感謝を捧げようと思います。
1963年のTVドラマをもとにして作られた本作は
最小の空間で最大級の心理的恐怖を生み出した作品であります。
「夜の地下鉄」という小さな世界を飛び回る
凶悪な「道化2人組」と
彼らによって「心中の悪魔」をえぐり出され
崩壊していく人々の姿を冷徹な目線で描いたストーリー
流血・人体破壊・銃撃&格闘アクションに依存することなく
不安と恐怖を生成する事を可能にした映像技
台詞の多用しながらも「状況説明台詞」の気配をほとんど感じさせない
作劇力を駆使して描こうという大胆な挑戦は
私に「陰性のスリル・他者を通じて自己を見る感覚・社会性のある怪奇恐怖
言葉という存在が持つ力」を体感させられる時間をもたらしました。
劣勢に立った途端「弱さ」をさらけ出す悪漢の姿
勧善懲悪の仮面を被りながら
「アメリカにおける人種差別の1形態」・「勝利したのは正義ではなく暴力である」・
「事件の根は今もなお存在し続ける」ことを
訴えかける幕切れが作品の苦味と説得力を高めている点も見逃せません。)
まさに「精神攻撃型パニック・ムービー」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
「客観的に見れば強引な設定」・「地下鉄での撮影を行っていない」事を
打ち消すほどの説得力と
昨今のホラー映画に勝るとも劣らぬほどの「残虐性」に
驚きを禁じ得ない本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。