映画に感謝を捧ぐ! 「間違えられた男(1956年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はアルフレッド・ヒッチコック監督の  「間違えられた男(1956年版)」に感謝を捧げようと思います。  「クリストファー&ローズ・バレストレロ」の悲劇を  もとにして作られた本作は  様々な皮肉に彩られた実話系映画であります。  無実の罪で逮捕された男と  彼を襲う悲劇の連鎖によって心を病んだ妻の運命と  A・ヒッチコック監督の得意技「スター主義」  「善人をトラブルに巻き込むストーリー展開」  「サスペンス系映像技」が融合することによって生じる科学反応は  私に「他者の不幸を物語の種子とする」  娯楽人の宿命がもたらす効能&暗部と  1950年代の映画&犯罪捜査事情の一端を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (肩すかし感満載の「真犯人&後日談」によって  真実が明かされ、正義が達成されたとしても  「悲劇の根源となる部分は解決しない」  「万事解決のハッピー・エンドになるとは限らない」事を  静かに示した幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「実話系巻き込まれサスペンス」の雄と  呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。  主演男優H・フォンダのクールな佇まいと  A・ヒッチコック監督の持つ映像技術力&潜在的サディズムが手を結び  モンスターとは異なる「社会的怪奇恐怖」を  冷酷且つ上品に写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。