映画に感謝を捧ぐ! 「サイゴン」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はクリストファー・クロー監督の「サイゴン」に  感謝を捧げようと思います。  ベトナム戦争時代のサイゴン(現在のホーチミン)で  発生した殺人事件の謎に迫る  アメリカ軍所属の捜査官コンビ「マグリフ&パーキンス」の    運命を描いた本作は  ビジネス性とメッセージ性が交錯する異色の刑事映画であります。  1980年代のアメリカ娯楽映画界に君臨する娯楽要素  異人種刑事コンビとベトナム戦争を共演させ  MTV的映像&音楽を有効活用するという商業的戦術性と  他作品とは異なる目線で「ベトナム戦争の暗部」を  写し出そうとする実験精神が融合することによって生じる科学反応は  私に「アメリカ製娯楽映画的サービス精神」と  「アメリカ批判要素」のせめぎ合いと  戦争がもたらす「精神的ダメージ」を映画的に表現する技法の  一端を目の当たりにする機会をもたらしました。  (勧善懲悪的決着&西部劇的ハッピー・エンドでありながらも  爽快感より虚しさが勝る幕切れとなっている点も  見逃せません。)  まさに「犯罪捜査系ベトナム戦争映画」の称号にふさわしい  作品であると言えるでしょう。  「夜の大捜査線」・「ディア・ハンター」が生みだした潮流と  俳優W・デフォーと「ベトナム戦争&社会悪」を結ぶ絆によって  1970年代的渋味と1980年代的陽気さの  中間に立つ刑事コンビ&ベトナム戦争映画となった本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。