映画に感謝を捧ぐ! 「毒薬(毒女)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はサッシャ・ギトリ監督の「毒薬(毒女)」に
感謝を捧げようと思います。
妻を憎む男「ポール・ブロバイエ」と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
心和む毒気に溢れた喜劇であります。
「夫婦による殺し合い」・「殺人の法律的解釈」
「地域振興と犯罪を結ぶ絆」といった過激なテーマを
日常劇&夫婦漫才的に描いていくストーリー
技巧的且つ緩やかな演出
フランス風味&庶民的ムード満載の俳優&女優陣が一体となる光景は
私に「犯罪劇と滑稽劇の秘めたる近似性」と
「弁護士の宿命&田舎町的人間関係」を映画的に表現する技法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「悪」の勝利を高らかに掲げつつも
勧善懲悪とは異なる爽快感と和やかさに包まれた
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「フランス流日常系犯罪喜劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
「舞台裏」から幕を開けるという奇策
後年の「シリアル・ママ」に通じる犯罪認識
MTVに通じる音楽&ラジオ番組の活用法
残酷な状況を巧みに抽象化&喜劇化する技術力が光り輝く本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。