映画に感謝を捧ぐ! 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジム・ジャームッシュ監督の
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」に感謝を捧げようと思います。
ニューヨークで暮らすハンガリー人「ウィリー」と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
クールにして多彩な日常劇であります。
異文化交流、ロマンス、サスペンスの気配を感じさせつつ
淡々と進行するストーリー&演出と
庶民的でありながらも謎めいたキャラクター造形が
一体となる光景は
私に「娯楽的になりうる状況を文学的に表現する」技法と
「死&不幸」に依存しない陰鬱さの一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(静かなる意外性&肩すかし性によって
運命の皮肉を感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「陰性文学系日常劇」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
様々な「娯楽性の種子」を宿しながら
状況説明的表現を極限まで抑制し
娯楽的盛り上げを拒むかのような映像&ストーリー展開が
鑑賞者の想像力を刺激し、能動的鑑賞を誘発する本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。