映画に感謝を捧ぐ! 「LOSS ロス」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はダン・ターナー監督の「LOSS ロス」に
感謝を捧げようと思います。
LOSS ロス LBX-220 [DVD] - ジョージナ・フレンチ, デヴィッド・ガント, アンドリュー・バイロン, クライブ・アシュボーン, ダン・ターナー
記憶を失った男女2人と
彼らを取り巻く人々の運命を描いた本作は
体感性を追求した記憶喪失映画であります。
段階的に情報を明かしていく作劇法と
幻惑的表現法の数々によって
登場人物と鑑賞者の立場を
極限まで近づけようと試みたストーリー&演出は
私に、物語作りにおける「情報管理」の重要性と
「情報と恐怖の関係」を映画的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(竜頭蛇尾感を感じさせる「真相」の後に
アメリカ映画的ハッピー・エンド主義を
土壇場でひっくり返す幕切れへと
急進している点も見逃せません。)
まさに「陰性アトラクション系サスペンス+SF」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
単純明快な陰謀を丹念に進行させ
陰鬱な作品世界を維持し続ける精神力と
様々な物語的問題点を力業で正当化する
豪快さに彩られた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。