映画に感謝を捧ぐ! 「ブルー・ガーディニア」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はフリッツ・ラング監督の「ブルー・ガーディニア」に
感謝を捧げようと思います。
フリッツ・ラング コレクション ブルー・ガーディニア [DVD] - アン・バクスター, リチャード・コンテ, アン・サザーン, レイモンド・バー, ナット・キング・コール, ジェフ・ドネル, ジョージ・リーヴス, フリッツ・ラング, チャールズ・ホフマン, ラオール・クロウシャー, アレックス・ゴットリーブ
自分を殺人犯と思いこんだ女性「ノラ」と
彼女を取り巻く人々の運命を描いた本作は
渋味と幻惑性がせめぎ合う巻き込まれ映画であります。
恋愛悲劇的状況から記憶喪失映画+推理劇へと向かいつつ
報道機関に対する皮肉を放つストーリー
幻惑的映像表現によって「ヒロインの精神状態」を
写し出す手法
哀しげな雰囲気を醸し出す音楽が一体となる光景は
私に「暴力描写」の抽象化とスリル&サスペンスの高揚を
両立させる妙技と
映像&音楽と物語による共同戦線の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(サスペンスとラブ・コメディのハッピー・エンドが絡み合う
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「記憶喪失映画&巻き込まれサスペンス講座」の
雄と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。
殺人事件の謎解きよりも
愛と記憶を失い、罪悪感と恐怖に囚われたヒロインの苦悩と
報道と警察の複雑な関係を重視した
作劇法&映像技と作品世界の雰囲気に沿った挿入歌によって
大衆娯楽性と風刺性、推理劇性と悲劇性の両立を可能とした本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。