映画に感謝を捧ぐ! 「俺たちに明日はない」

 映画感謝人GHMです。

 今回はアーサー・ペン監督の「俺たちに明日はない」に

 感謝を捧げようと思います。

 1930年代の強盗団「バロウ・ギャング」を

 もとにして作られた本作は

 現実逃避的な健全主義が支配する「60年代アメリカ映画界」に

 大いなる衝撃を与えた歴史的作品であります。

 巧みな映像技と「暴力の現実」を見据えた視線によって作られた

 アクション・シーンの数々

 不気味なまでに軽快かつ上品な音楽

 説得力のある時代背景描写・心理描写によって

 「犯罪者への愛と共感に満ちた物語」を違和感なく写し出すことを

 可能にした作劇法

 「正義の凶暴性」に対する警鐘と主人公カップルへの哀悼に満ちたラスト・シーンが

 一体となる姿は

 私に「背徳的なスリルが生み出す快感」と

 映画史上まれに見る「不快な勧善懲悪」に触れる機会をもたらしました。

 (明るくも哀しげな色彩が

 何気ないシーンに深みと哀愁を与えている点も見逃せません。)

 まさに「戦後アメリカ史における反抗期を体現した作品」

 であると言えるでしょう。

 テクノロジーに支配される事なき「犯罪映画」の魅力と哀愁に満ちた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。