映画に感謝を捧ぐ! 「どん底(1936年版)

 映画感謝人GHMです。

 今回はジャン・ルノワール監督の「どん底(1936年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 マクシム・ゴーリキーの同名戯曲をもとにして

 1936年に作られた本作は

 陰鬱さと上品さを兼ね備えた作品であります。

 「貧すれば鈍する」という言葉を象徴するかのような日常を

 品格とユーモアを失うことなく描ききった

 スタッフ陣のバランス感覚と精神力は

 私に「日常生活に潜む物語性」と

 「穏やかな日々」のありがたみを体感する機会をもたらしました。

 (「庶民ムード」あふれる俳優・女優陣の名演と

 ハッピー・エンドでありながらも苦味の利いた幕切れが

 作品の味わいと説得力を高めている点も見逃せません。)

 本作こそ「純文学的日常劇」の称号にふさわしい作品であると言えるでしょう。

 他の人情劇が覆い隠してきた「庶民感覚の暗部」をえぐり出す物語であるにもかかわらず

 明るい雰囲気に包まれた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。