映画に感謝を捧ぐ! 「ファイブ・イージー・ピーセス」
映画感謝人GHMです。
今回はボブ・ラファルソン監督の「ファイブ・イージー・ピーセス」に
感謝を捧げようと思います。
病気の父を見舞うために帰郷した男の
運命を描いた本作は
苦味と哀愁に満ちた家族劇であります。
刃のような冷たさと攻撃性に満ちた人間模様と
寒々とした風景が全編を支配している世界であるにもかかわらず
不快感よりも悲しみと親近感を感じさせる作品として描くことを可能にした
スタッフ・キャスト陣の技巧と精神性は
私に人間の複雑さと、他者に「愛」を示すことの難しさを
思い知らされる感覚をもたらしました。
(サスペンス映画とは異なる「静かなる非情さ」を持った
最後のどんでん返しがもたらす「重苦しい余韻」も見逃せません。)
まさに「70年代の気風が生んだ人間論」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
不器用な愛ゆえに自分本位な言動に走ってしまう
自分自身を責めることによって
逃避の人生へと落ちていく主人公の姿を通じて
愛と情熱を失い迷走する「アメリカ」の姿を世にさらけ出した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。