映画に感謝を捧ぐ! 「薔薇の名前」

 映画感謝人GHMです。

 今回はジャン・ジャック・アノー監督の「薔薇の名前」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ウンベルト・エーコの同名小説をもとにして作られた本作は

 探偵小説と宗教映画の個性を兼ね備えた

 異色のサスペンス映画であります。

 「山奥の修道院で発生した殺人事件の謎を解明する」という衣をまといながら

 「組織の論理」という名の悪魔によって

 宗教本来の意義が失われ、支配の道具と化していく状況を世に示すという

 大胆極まる告発は

 私に「犯罪ミステリー」の持つ可能性と

 「空間的制約が物語のスケール感を増幅させていく光景を目の当たりにする機会を

 もたらしました。

 (中世の修道院を舞台とした物語であるにもかかわらず

 「科学的物証」にこだわった捜査法がなされていること

 ヨーロッパ絵画的な映像&怪奇映画的な特殊メイクの数々が

 作品のメッセージ性を高めている点も見逃せません。)

 まさに「神話系探偵映画」の称号にふさわしい作品であると言えるでしょう。

 現代にも通じる「ユーモアの力と情報制御による洗脳の恐怖」を

 娯楽性を失うことなく映画化した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。