映画に感謝を捧ぐ! 「不思議な世界(1969年版)」
映画感謝人GHMです。
今回はリチャード・レスター監督の「不思議な世界(1969年版)」に
感謝を捧げようと思います。
スパイク・ミリガン&ジョン・アンドロバスの戯曲「THE BED-SITTING ROOM」を
もとにして作られた本作は
ホラー映画とは異なる形態の怪奇恐怖を感じさせる喜劇映画であります。
核物質によって歪められた生態系・戦争による社会システムの崩壊を
バラエティ番組・ホームドラマ・道中劇を融合させたかのような手法で描くという
大胆不敵な挑戦は
私に「不条理且つ残酷な状況を日常として受け入れてしまう」恐怖と
「ドタバタ喜劇と社会派が特殊なバランスで共存する」光景を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(場違いなまでに上品且つ哀愁漂う音楽
悪ノリ的でありながらも知性を感じさせる小ネタ&キャラクター造形
映画史上まれに見る「問答無用系ハッピー・エンド」が
作品の不条理文学性をもたらしている点も見逃せません。)
まさに「ブラック・ユーモア系風刺劇」の極限形態と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
英国喜劇の特性・戦争への怒り・科学に対する警戒心
人間の適応力に対する複雑な思いが交錯する本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。