映画に感謝を捧ぐ! 「ありふれた事件」
映画感謝人GHMです。
今回はアンドレ・ボンセル監督の「ありふれた事件」に
感謝を捧げようと思います。
強盗殺人犯を題材にしたドキュメンタリー映画に
関わる人々の運命を描いた本作は
1971年の映画「時計じかけのオレンジ」の空気と
マス・コミュニケーションに対する意地悪な目線が融合した怪作であります。
ユーモアと凶暴性が共存する強盗殺人犯と
彼の日常を追うことによって「狂気の底なし沼」へと落ちていくスタッフ陣の姿を
実録的表現法とクールな暴力描写の駆使して描くという
大胆不敵な挑戦は
私に「感情移入不能なキャラクター」に魅了されるという特異な精神状態
「エンターテイナー&ジャーナリズム」に潜む潜在的狂気に翻弄される時間
自分自身の心に潜む「暗黒」を覗き見る感覚をもたらしました。
(過剰なまでに皮肉の効いた邦題
「カメラマン」の感情をほとんど表に出さない手法
「登場人物の不幸」を淡々と写し出す幕切れが
作品のブラック・ユーモア性を高めている点も見逃せません。)
本作こそ「疑似実録映画の起源」にして
「反娯楽的バイオレンス映画」の強豪作であると言えるでしょう。
悪&エンターテインメントに対する凶暴な愛と
ホラー映画とは異なる怪奇恐怖に彩られた本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。