映画に感謝を捧ぐ! 「バス174」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はジョゼ・パジーリャ監督の「バス174」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 2000年のリオデジャネイロで発生した

 「バス174事件」をもとにして作られた本作は

 1975年のアメリカ映画「狼たちの午後」に通じる気配と

 陰性のブラジル風味に彩られた記録映画であります。

 犯罪の舞台となった「バス」とその周辺での出来事が

 犯罪の精神的被害・極限状態によって破壊される人間の良心&理性

 「正義&事なかれ主義」というモンスターの実態をえぐり出す光景は

 私に、最小限度の空間で最大級の「社会派的スケール感」が発生する現象を

 目の当たりにさせられる状況をもたらしました。

 (美しい自然&明るい色彩が「事件の残酷さ」を強調している点や

 悲劇的な決着&後日談を淡々と語る幕切れが

 ホラー映画以上の「怪奇恐怖」を放っている点も見逃せません。)

 まさに「陰性実録映画」の最高峰に位置する

 ブラジル映画であると言えるでしょう。

 命を賭けた「存在証明」としての犯罪が

 人間社会の暗部を写し出す本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。