映画に感謝を捧ぐ! 「キッズ・リターン」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は北野武監督の「キッズ・リターン」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 奔放に生きる高校生2人と

 彼らを取り巻く人々の運命を描いた本作は

 暴力性と文学性が奇妙なバランスで共存する青春映画であります。

 スポーツ映画・極道映画・日常劇を融合させ

 陰の部分に重きを置く事によって生を受けたストーリー

 台詞による状況説明&娯楽的盛り上げを極限まで抑制した演出

 娯楽性よりも現実感を重視したアクション・シーンが

 王道的サクセス・ストーリーの裏側にある「闇」をえぐり出していく光景は

 私に「娯楽作の隙間を見抜く」目線

 浮世離れしたストーリーに「説得力」を与える映像

 冷徹さと情の絡み合う感覚をもたらしました。

 (「終わりと始まり」に立つ男2人を通じて

 「人生」に対する一考察を写し出した幕切れが

 ハッピー・エンドとは異なる感動&悲劇とは異なる哀愁を

 感じさせる点も見逃せません。)

 まさに「ジャンル融合型陰性青春映画」の雄と呼ぶにふさわしい

 強豪作であると言えるでしょう。

 北野武監督の人生における重要事項「漫才・ボクシング・ヤクザ・タクシー運転手」

 1960~70年代のアメリカ映画&ヨーロッパ映画の味わい

 日本映画の情緒&仏教的メッセージが

 荒々しくも知的な「作家性」によって結ばれる姿に圧倒される本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。