映画に感謝を捧ぐ! 「キッズ・リターン」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
感謝を捧げようと思います。
奔放に生きる高校生2人と
彼らを取り巻く人々の運命を描いた本作は
暴力性と文学性が奇妙なバランスで共存する青春映画であります。
スポーツ映画・極道映画・日常劇を融合させ
陰の部分に重きを置く事によって生を受けたストーリー
台詞による状況説明&娯楽的盛り上げを極限まで抑制した演出
娯楽性よりも現実感を重視したアクション・シーンが
王道的サクセス・ストーリーの裏側にある「闇」をえぐり出していく光景は
私に「娯楽作の隙間を見抜く」目線
浮世離れしたストーリーに「説得力」を与える映像
冷徹さと情の絡み合う感覚をもたらしました。
(「終わりと始まり」に立つ男2人を通じて
「人生」に対する一考察を写し出した幕切れが
ハッピー・エンドとは異なる感動&悲劇とは異なる哀愁を
感じさせる点も見逃せません。)
まさに「ジャンル融合型陰性青春映画」の雄と呼ぶにふさわしい
強豪作であると言えるでしょう。
北野武監督の人生における重要事項「漫才・ボクシング・ヤクザ・タクシー運転手」
日本映画の情緒&仏教的メッセージが
荒々しくも知的な「作家性」によって結ばれる姿に圧倒される本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。