映画に感謝を捧ぐ! 「エネミーズ・ゾーン」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はランスロ・フォン・ナッソ監督の「エネミーズ・ゾーン」に  感謝を捧げようと思います。  一時停戦中のファルージャへ医療物資を運ぶ人々の  危険な旅を描いた本作は  娯楽性と社会性の間で葛藤する戦争映画であります。  道中劇&冒険映画の王道を駆使して  「イラク戦争」の一端を写し出す物語と  「アクション映画的ハッタリ」に満ちた宣伝法を融合させるという試みは  私に「商業的成功」と「社会派的メッセージを伝えること」を両立させようと奮闘する人々と  「他者の不幸」に関わることを生業とする人々の思いに  触れる機会をもたらしました。  (娯楽的盛り上げを抑制したクールな幕切れが  「戦争」に向き合う人々の思いを写し出している点も見逃せません。)  まさに「道中系戦争映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。    冷徹なまでに非娯楽的に進む物語の中で  「アメリカのイラク政策」に対する批判精神が光輝く本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。