映画に感謝を捧ぐ! 「フィアレス 恐怖の向こう側」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はピーター・ウィアー監督の「フィアレス 恐怖の向こう側」に
感謝を捧げようと思います。
ラファエル・イグレシアスの同名小説を
もとにして作られた本作は
ホラーとは異なる怪奇恐怖と
事故からの生還=解決という図式に対する批判精神が
交錯する作品であります。
「死」に触れたことによる精神の麻痺と
パニック・ムービーの裏側に潜む
「事故後の人間模様」を静かに描いたストーリー
過去と現在をサスペンス的に交錯させ
説明台詞を抑制することによって
想像力を刺激する文学的映像表現
清濁が巧みに混ざり合うキャラクター造形が一体となる光景は
私に「万事がビジネス化される社会」の恐怖
命と恐怖心の密接な関係
災害映画の持つ「可能性」の奥深さを目の当たりにする機会をもたらしました。
(過去の風景から「現実」に向かって旅立つ主人公の姿が
生と死が表裏一体であることを示している点も見逃せません。)
まさに「災害系舞台裏映画」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
異文化交流と心の旅にこだわるP・ウィアー監督と
事故の間接被害に対する鋭い目線が一体となって
後年の米ドラマ「LOST」などに通じる道を切り開いた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。