映画に感謝を捧ぐ! 「アメリカの影」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジョン・カサヴェテス監督の「アメリカの影」に  感謝を捧げようと思います。  ニューヨークの一角に住む人々の日常を描いた本作は  NYを活動拠点とする映画人ならではの味わいと  大衆娯楽としての技術力を兼ね備えた人情劇であります。  人情と不人情のバランスを保ちながら  複数の人間模様が段階的に繋がっていくストーリー  サスペンス的スピード感&見せ方で進行していく映像  品のある音楽・庶民的ムードを感じさせるキャスト陣が  一体となる光景は  私に、1950年代のアメリカに潜む「病理」  実録的現実感とファンタジー的華やかさが織りなす  「結婚生活」の一形態  淡々と進む物語を軽快に見せる技法を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (娯楽的高揚感に背を向けた「唐突且つ静かな結末」でありながら  希望の光を感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「陰性日常劇」の雄と呼びたくなる一作であると言えるでしょう。  娯楽映画の定番に抗う大胆な作劇法によって  NYの空気とキャラクターの魅力  自由と統制・大衆食堂性と社会性の共存を果たした本作と  生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。