映画に感謝を捧ぐ! 「T-フォース ベトコン地下要塞制圧部隊」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はウーヴェ・ボル監督の
「T-フォース ベトコン地下要塞制圧部隊」に
感謝を捧げようと思います。
1968年のベトナムに築かれた敵軍地下基地の制圧を命じられた
アメリカ軍小隊の運命を描いた本作は
マイナス要素がメッセージ性を放つ姿に驚かされる
ベトナム戦争映画であります。
1960~80年代のベトナム戦争映画を
継ぎ接ぎしたストーリー
省力的なアクション・ホラー的残酷描写が
米軍礼賛を抑制し
ベトコン側の事情を描こうとすることによって
薄味&積載過多化したキャラクター造形が
戦争における個人の軽さ・暴力の残酷さ
米軍礼賛の衣を纏った米軍批判の一形態が
写し出されていく現象は
私に「軽量娯楽映画に想定外の重厚感が発生していく」光景と
SF映画とは異なる「タイムスリップ感覚」を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(蝋燭の火が消えるかのように訪れる「奇襲的な幕切れ」が
戦争の虚しさを鮮明化している点も見逃せません。)
まさに、裏のメッセージを読み取る事によって味わいを増す
「脳活性化系戦争映画」にして
ベトナム戦争映画論の一翼を担う一作であると言えるでしょう。
映画史上屈指の怪物U・ボル監督の「見世物&省力化精神」と
ベトナム戦争映画の歴史が融合することによって
突然変異的な怪作となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。