映画に感謝を捧ぐ! 「メンフィス・ベル」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はマイケル・ケイトン・ジョーンズ監督の
「メンフィス・ベル」に感謝を捧げようと思います。
爆撃機「メンフィス・ベル」の実話を
もとにして作られた本作は
緩やかでありながらも苦味の利いた実話系戦争映画であります。
青春映画的キャラクター造形・クールな戦争描写
ドイツ軍に対する「悪役的描写」を抑制し
主人公一行の目線に徹する手法によって
「連合軍礼賛映画化」を抑制しつつ
第2次世界大戦の一角で戦う男たちの運命を描くという挑戦は
私に、英雄伝と反戦・娯楽とメッセージ性の間に立つ映画に
接する機会をもたらしました。
(アメリカ映画的ハッピー・エンドでありながらも
「嫌な後味」を感じさせる幕切れが
戦争映画における「公平さ確保」の困難さを写し出している点も見逃せません。)
まさに、アメリカ流娯楽風味とヨーロッパ的感覚が混ざり合った
「青春系戦争映画」であると言えるでしょう。
派手なアクション&説明台詞に依存しない堅実さと
キャラクターの個性を極限まで薄める大胆さによって
戦争における「個人」の小ささと武勇伝の偽善性を写し出す本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。