映画に感謝を捧ぐ! 「陽は昇る」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はマルセル・カルネ監督の「陽は昇る」に  感謝を捧げようと思います。  運命の悪戯によって殺人者となった男  「フランソワ」の運命を描いた本作は  様々な要素が交錯する恋愛悲劇であります。  無器用な「愛」によって破滅していく男たちの物語と  クールなサスペンスと苦いユーモアに満ちた籠城戦が絡み合い  静かに進行していくストーリー&演出は  私に、男性の繊細さと女性の精神的複雑さを  娯楽的+文学的に表現する技法の一端と  浮世離れ性と現実感が奇妙なバランスで共存する現象を  目の当たりにする機会をもたらしました。   (ある種の「皮肉」に彩られた邦題と  怪奇ムードに覆われつつも渋味の利いた幕切れも見逃せません。)  まさに「非SF系時間旅行型恋愛悲劇」の  静かなる強豪作であると言えるでしょう。  主演男優J・ギャバンの渋味  ヨーロッパ映画的魅力を放つヒロイン達  状況説明的表現を抑制し  鑑賞者に「考えること」を求める作劇法&映像技が  スター主義&娯楽的ご都合主義の匂いを払いのけ  「愛」の強さと魔性を冷徹に写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。