映画に感謝を捧ぐ! 「グリード(1924年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエリッヒ・フォン・シュトロハイム監督の
「グリード(1924年版)」に感謝を捧げようと思います。
フランク・ノリスの小説「死の谷 マクティーグ」を
もとにして作られた本作は
E・V・シュトロハイム監督の芸術的狂気と
映画会社の思惑がせめぎ合うことによって生を受けた
壮絶なる夫婦劇であります。
微笑ましいロマンスが「富くじの賞金5000ドル」によって
欲望渦巻く惨劇へと転じていく姿を
私に「富」の破壊力、人間関係崩壊の過程
娯楽的映像技と純文学的ストーリーの融合がもたらす
科学反応を目の当たりにする機会をもたらしました。
(富への執着によって全てを失った男を通じて
制御なき欲望の果てにある「虚無」を静かに写し出す
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「サイレント系陰性文学」の歴史に輝く
過激作であるといえるでしょう。
偶然の幸運を装いながら接近し
慎ましく生きる人々を破滅へと導いていく
「ゴールド」という名の悪魔と
飽くなき芸術への執念によって
自らの「監督生命」を破壊した男の姿が
重なり合う感覚に圧倒される本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。