映画に感謝を捧ぐ! 「秋のソナタ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はイングマール・ベルイマン監督の「秋のソナタ」に  感謝を捧げようと思います。  女性ピアニスト「シャルロッテ」とその娘「エヴァ」の  運命を描いた本作は  情緒、映像技、文学性が複雑に絡み合う  家族劇であります。  ホームドラマ的な風景の中に  舞台的台詞回し、サスペンス的スリル、怪奇風味を  挿入したストーリー&演出によって  交流の枠を越え「精神的対決」の領域に立った母娘関係が  穏やか&クールに写し出されていく光景は  私に「会話のアクション」・「非暴力的決闘」  「純文学性と大衆性のせめぎ合い」を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「和解」の可能性を示しつつも  万事解決的ハッピー・エンドにはしない  現実的幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「非恋愛系愛憎劇」・「純文学系ホームドラマ」の  雄と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。  物理的スケール感の抑制による精神的スケール感の高まり  人生のスリル&サスペンス性と  愛憎渦巻く親子関係に対する鋭い目線  絵画的映像表現、対決映画の魅力がバランス良く配合された本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。