映画に感謝を捧ぐ! 「オリバー・ツイスト(1947年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はデヴィッド・リーン監督の「オリバー・ツイスト(1947年版)」に
感謝を捧げようと思います。
チャールズ・ディケンスの同名小説をもとにして
1947年に作られた本作は
子供映画史上屈指の「陰鬱系のスリル&サスペンス」に彩られた作品であります。
不幸の連鎖に翻弄される少年の運命を
活劇性、怪奇性、極道映画性、人情劇性を絡み合わせながら
上品且つ躍動的に写し出していくストーリー&演出は
私に「娯楽的サービス、社会派の苦味、純文学的クールさ」が
バランス良く配合された映画の醍醐味と
「暴力描写を曖昧化しつつ、スリル&サスペンスを醸し出す」技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(万事解決のハッピー・エンドでありながらも
悪漢達の「惨めな最期」が印象深い幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「文学史劇系冒険映画」と呼びたくなるような
雰囲気を持った作品であると言えるでしょう。
白黒映像の持ち味を最大限に生かし
ヨーロッパ映画的渋味&品格と娯楽映画的スピード感の均整を保つことによって
映画界における「オリバー・ツイスト系作品」の幕開けを告げた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。