映画に感謝を捧ぐ! 「クローンズ(2010年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はホドリゴ・オルドネス監督の「クローンズ(2010年版)」に  感謝を捧げようと思います。  クローン技術が実用化された世界で暮らす  人々の運命を描いた本作は  鑑賞者の頭脳を試すSF映画であります。  状況設明を極限まで抑制し  細切れ的&多角的に暴走するストーリーと  SF、サスペンス、ホラー、ポルノの気質が混ざり合った  映像が一体となる光景は  私に「情報過多」がもたらす混沌の中で  作品世界の真実&登場人物の心情を理解する能力を  鍛える機会をもたらしました。  (登場人物の多くを不幸にし  様々な謎を残したまま訪れる幕切れが  「スケール感&テクノロジー信仰」に対する警告となっている点も  見逃せません。)  まさにテクノロジー系SF史上屈指の  「文学的狂気」を感じさせる大怪作であると言えるでしょう。  物語&作品世界のスケールを無分別に広げ続けることによって  生成される不条理&惨劇の嵐に圧倒される本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。