映画に感謝を捧ぐ! 「蝶の舌」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はホセ・ルイス・クエルダ監督の「蝶の舌」に  感謝を捧げようと思います。  マヌエル・リバスの同名小説をもとにして作られた本作は  冷静さと人情味が入り交じった子供映画であります。  ホームドラマ+青春映画的な日々が  国家の内部抗争に巻き込まれることによって崩壊していく姿を  クール且つ穏やかに描いていくストーリー  映像技に依存せず、自然美を重視した風景描写  庶民的ムード漂う俳優&女優陣が一体となる光景は  私に、人情と政情の静かなるせめぎ合い  日常劇要素と史劇要素の融合  暴力&破壊に依存しないスリル&サスペンスの生成法の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (家族を守るために愛する人を裏切らざるを得ない絶望の中に  ささやかな「希望」を宿す幕切れとなっている点も見逃せません。)    まさに「スペイン製日常系史劇」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  少年&民衆目線で見つめる「スペイン内戦」を通じて  歴史の無常さ、人心に潜む神と悪魔  日常&人間関係が静かに崩壊していく恐怖を写し出す本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。