映画に感謝を捧ぐ! 「ハッド」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はマーティン・リット監督の「ハッド」に
感謝を捧げようと思います。
ラリー・マクマートリーの同名小説をもとにして作られた本作は
外見以上の壮大さを感じさせるホームドラマであります。
テキサスで牧場を営む一家の確執と崩壊を通じて
1960年代の「アメリカ」を写し出していくストーリー
西部劇風味溢れる舞台&キャラクター造形
美しくも哀しげな音楽が一体となって
1970年代に訪れる「アメリカ映画的サービス精神への反抗」
「世代&階級間抗争」・「暴力&性描写の解放」を
暗示していく光景は
私に「映画的未来予知」・「西部劇気質と近代気質の冷戦」
「アメリカ映画的倫理観に対する疑心」の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「奔放な生き様」の代償を静かに写し出す幕切れが
死亡エンド以上の「バッドエンド風味」を醸し出している点も見逃せません。)
まさにM・リット監督の生真面目性&1960年代のアメリカ映画事情が生んだ
「愛憎&社会派系家族劇」であると言えるでしょう。
主演男優P・ニューマンの放つ「反抗魂」
父親に扮したM・ダグラスの哀愁漂うよう渋味
アメリカ西部劇の装飾を纏いながら
1950年代までのアメリカ映画が描いてきた「勧善懲悪の理想郷」に別れを告げ
現実に向き合おうする物語&映像が一堂に会した本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。