映画に感謝を捧ぐ! 「逃亡者(1944年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の  「逃亡者(1944年版)」に感謝を捧げようと思います。  殺人罪で投獄され、空襲の混乱に乗じて逃亡した男「クレマン」と  彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  軽快でありながらも渋味の利いた異色の戦争映画であります。  効率主義と見せ場主義、アクションと人間模様を状況に応じて使い分けながら  逃亡劇から正統派戦争映画へと急展開していくストーリー&演出は  私に、詳細に描写すべき部分と省略すべき部分を的確に選択する  作劇法&映像技の醍醐味と  人生の神秘性を戦争映画的に表現する技法の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「罪」に対する報いと仲間&祖国のために命がけで闘った男への敬意  人情と正義漢が静かに交錯する幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「道中+人間模様系戦争映画」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。  虚無に囚われた男の成長劇と連合軍礼賛系戦記  アクション&サスペンスと人情劇  戦場に生きる男たちの友情と社会正義が複雑に絡み合う本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。