映画に感謝を捧ぐ! 「美女と野獣(1946年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジャン・コクトー監督の「美女と野獣(1946年版)」に
感謝を捧げようと思います。
ガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴによって生を受けた後
ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンによる加工を施され
出版された同名恋愛譚をもとにして1946年に作られた本作は
多彩な技巧が交錯する恋愛映画であります。
怪奇映画、史劇、恋愛映画の手法をバランス良く配合し
舞台的ムードを加える事によって
怪談、お伽噺、少女漫画が入り交じったストーリー&演出が
生成されていく光景は
私に「怪奇恐怖とロマンスの秘めたる共通項」と
「男性の繊細さ&女性の強靱さ」を映画的に表現する技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(ファミリー向け&漫画的ハッピー・エンドを
ブラック・ユーモア的に加工した幕切れが
独特の苦味と爽快感を放っている点も見逃せません。)
まさに「フランス流恋愛ファンタジー」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
男性に対する鋭い目線と時代を先取りする直感に彩られた
「野獣」のキャラクター造形と
ファンタジー性と風刺性を兼ね備えた作劇法&映像技によって
映画界における「美女と野獣路線」を切り開いた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。