映画に感謝を捧ぐ! 「リック」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はボジダール・ニコリック監督の「リック」に  感謝を捧げようと思います。  重度の皮膚病に苦しめられる青年「リック」と彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は  アメリカ映画的明るさとヨーロッパ映画的渋味が入り交じった  難病映画であります。  ホームドラマ、ロマンス、観光旅行映画、アイドル映画要素が  バランス良く配合されたストーリー&キャラクター造形と    人情劇、道中劇、コミック・ムービーの技法を  状況に応じて使い分ける演出&デザインが一体となる光景は  私に、スター主義とストーリー性の平和的共存  見せるべきポイントを的確に押さえつつ  説明過多&感動誘発臭を抑制する手法  生と死に関する考察の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (主人公の最期を「西部劇の終幕」風に表現することによって  美しさと哀しさが静かに交錯する  幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「道中&青春系難病映画」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  舞台&装飾の特性を有効活用し  「涙」による悲劇性の強調&劇的な事件に溺れることなく  「主人公との仲間たちの時間」を描くことによって  クールさと人情味、冒険活劇性と日常劇性を兼ね備えた難病映画となった本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。