映画に感謝を捧ぐ! 「クレージーホース」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はフェルナンド・アラバール監督の「クレージーホース」に  感謝を捧げようと思います。  母親殺害の容疑者として追われる男「アデン・レイ」と  謎の男「マベル」の運命を描いた本作は  不条理文学性とメッセージ性が交錯する  大いなる怪作であります。  「砂漠で出会った男2人&殺人容疑者を追う警察」の物語という  形態を取りながら  ポルノ、ホラー、宗教画、アクション風味漂う映像を  論理性の枠に捕らわれることなく写し出すことによって  自然の壮大さ&人間社会の暗部を示していく光景は  私に「社会派風味と美術館風味の共同戦線」と  「芸術的狂気と大衆娯楽性のせめぎ合い」の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (純文学的難解さと和やかさが入り交じった  幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「不条理文学系道中劇」史上屈指の  迷宮的魅力を持った作品であると言えるでしょう。  謎めいた雰囲気、俗物的お色気&残酷描写  静かなる凶暴性、奇妙な人情味が絡み合う本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。