映画に感謝を捧ぐ! 「キル/オフ」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はクリストフ・デロー監督の「キル/オフ」に
感謝を捧げようと思います。
荒野の町で孤立した男「サム」の運命を描いた本作は
省エネ的な狂気が炸裂するサスペンス映画であります。
極限まで抑制された登場人物数&情報量
淡々とした風景、アクション+ホラー風味漂う暴力描写によって
謎めいた雰囲気&恐怖感を醸し出そうという
大胆不敵な挑戦は
私に、節約精神と想像力の刺激を両立させようと
奮闘する人々の勇姿と
「声」の映画的活用法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(様々な問題を隠蔽したまま「穏やかな風景」を写し出す幕切れが
サスペンスにおける「解答作り」の過酷さ
平和の危うさ、歴史の不条理性を体現している点も見逃せません。)
まさに「巻き込まれ&思わせぶり系サスペンス」史上屈指の
怪作であると言えるでしょう。
鑑賞者を「主人公が抱える混乱&苦悩を共有する」状態へと導く事によって
情報化社会の持つ「危険要素」の一端を示した本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。