映画に感謝を捧ぐ! 「野いちご(1957年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はイングマール・ベルイマン監督の「野いちご(1957年版)」に  感謝を捧げようと思います。  医師「イーサク・ボルイ」と彼を取り巻く人々の  運命を描いた本作は  様々な技法&特性が絡み合う日常劇であります。  過去と現在、夢と現実、純文学小説&童話性と舞台劇性が  混ざり合う事によって生を受けた  ストーリー&演出、キャラクター造形が  技巧的且つ静かに進行する光景は    私に「人生の文学性」・「生と死・男女の関係に関する考察」  「怪奇的表現法と日常劇的表現法の同盟」の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (万事解決系ではないにも関わらず「穏やかさ」を感じさせる幕切れが  ハッピー・エンドや悲劇とは異なる味わいを  もたらしている点も見逃せません。)    まさに「純文学系日常劇」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  人生訓とファンタジー性、哀愁とユーモア  上流社会感覚と庶民感覚、技巧的映像表現と人情味が  驚異的なバランス感覚で並び立つ本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。