映画に感謝を捧ぐ! 「風の痛み」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はシルヴィオ・ソルディーニ監督の「風の痛み」に  感謝を捧げようと思います。  アゴタ・クリストフの小説「昨日」をもとにして作られた本作は  イタリア映画的大衆性と文学性に彩られた恋愛劇であります。  現実と空想、純文学風味とポルノ的サービス精神  日常劇要素と愛憎劇要素が複雑に絡み合う  ストーリー&演出、キャラクター造形、音楽が  技巧的且つクールに進行する光景は  私に「俗物性と神秘性のせめぎ合い」・「人生の文学&サスペンス性」  「ストーリー展開に沿った挿入曲の醍醐味」の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (恋愛映画的ハッピー・エンドでありながらも  ある種の哀愁&不吉さを感じさせる幕切れとなっている点も  見逃せません。)  まさに「純文学系異常心理恋愛劇」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。  純文学小説的語り口、愛憎劇的人間模様  イタリア映画的大衆性、サスペンス&挿絵的映像が  絶妙のバランスで配合された本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。