映画に感謝を捧ぐ! 「グロリアの憂鬱」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はペドロ・アルモドバル監督の「グロリアの憂鬱」に  感謝を捧げようと思います。  主婦「グロリア」と彼女を取り巻く人々の  運命を描いた本作は  日常劇史上屈指の「クールな狂気」に包まれた豪快作であります。  奇想天外且つ陰鬱でありながらも  穏やかさ+陽気さを感じさせるストーリー&演出と  小市民性、変態性、極道性を兼ね備えた  キャラクター造形が一体となる光景は  私に「凶悪でありながらも淡々とした日常風景」と  多彩なアイデアを力業でまとめ上げる技法の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ヒロインを取り巻く諸問題を静かに隠蔽しつつ  「ホームドラマ的ハッピー・エンド」へと着地する幕切れが  戦慄と感動が入り交じった余韻を与えている点も見逃せません。)   まさに「陰性女系日常劇」史上屈指の実験性と  静かなる過激さを持った作品であると言えるでしょう。  ホームドラマ、サスペンス、コメディ、SFの特性を混ぜ合わせて  「家族の崩壊と再生」を描くという発想力&映画技術力に圧倒される本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。