映画に感謝を捧ぐ! 「スキャナー・ダークリー」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はリチャード・リンクレイター監督の
「スキャナー・ダークリー」に感謝を捧げようと思います。
フィリップ・K・ディックの小説「暗闇のスキャナー」を
もとにして作られた本作は
F・K・ディック文学の醍醐味と映像&作劇的実験精神に
彩られたアニメーション映画であります。
「ドラッグ」に関わることによって現実と精神の均整を失う恐怖と
潜入捜査がもたらす「自己崩壊」を
アニメーション映像によって表現するという発想
幻惑的ムードと退廃的ムードを両立させる映像技
娯楽性と文学性の均整を保ち続けながら
軽やかに進行するストーリー
生き様の中に「狂気」を感じさせる俳優&女優陣が
一体となる光景は
私に「コミック的作品世界と現実社会の暗部が重なっていく」現象と
映像とストーリーによる「理想的な結婚」の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(穏やかな佇まいの中に悲劇性と恐怖を宿す
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「心理的迷宮型未来系SF」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
薬物依存の法則、精神と物質の複雑な関係
正義を振りかざす人間特有の非情さ
複数の物語&人物が空間的制約を超え
段階的に繋がっていく快感
アニメーション映画の持つ可能性が一堂に会した本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。