映画に感謝を捧ぐ! 「扉の陰の秘密」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はフリッツ・ラング監督の「扉の陰の秘密」に
感謝を捧げようと思います。
資産家の娘「シリア」と彼女と結婚した男性「マーク」の
運命を描いた本作は
情と技巧が静かに絡み合う夫婦劇であります。
ホームドラマと異常心理サスペンスの間で
せめぎ合うストーリーと
計算された光調整・効果音・カメラワークによって
ヒロインの心理を代弁しつつ鑑賞者の不安を煽る演出が
一体となる光景は
私に「愛と狂気の静かなる抗争」を映画的に表現する手法と
作劇法と映像技による「幸福な結婚」の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「自制を失った愛」がもたらす殺意の
ぶつかり合いがもたらす癒し効果と
サスペンス映画的どんでん返しが生み出す衝撃を
兼ね備えた決着の付け方となっている点も見逃せません。)
まさに「異常心理入り恋愛劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
殺人描写に依存しないスリル&サスペンス生成術と
文学的表現法の限りを駆使して
夫婦が心を通い合わせていく過程と
過去のトラウマを乗り越え、真実にたどり着く為に歩みを写し出す本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。