映画に感謝を捧ぐ! 「スターリングラード攻防戦」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はフランク・キャプラ監督の

 「スターリングラード攻防戦」に感謝を捧げようと思います。

DVD>スターリングラード攻防戦 [戦争ドキュメント 21] (<DVD>)
DVD>スターリングラード攻防戦 [戦争ドキュメント 21] (<DVD>)

 アメリカ軍による宣伝用映像「なぜ我々は戦うのか」の

 一翼を担う本作は

 映像作品と時代の関係性を感じさせる一作であります。

 観光旅行&武勇伝感覚でソビエト(現ロシア)を称え

 ソビエト史の暗部を巧みに隠蔽しつつ

 ナチス・ドイツ批判&連合軍礼賛を高らかに掲げる

 映像&語り口は

 私に「時代の流れ&政治情勢の変化」によって

 記録映像の意味が変質する現象と

 

 ロシアの持つ打たれ強さ&長期戦向け体質の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (娯楽映画的ハッピー・エンドの香りを放ちながら

 連合軍にとって好ましい「国際協調」を煽る

 情報戦術的な幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「連合軍礼賛型ロシア史入門」の

 称号にふさわしい記録映像であると言えるでしょう。 

 戦意高揚&ナチス・ドイツ軍の残虐性を強調する事を

 目的として生を受けながら

 「冷戦時代」到来前の米露・米独関係

 軍隊&政府の持つ「自国本位性」 

 侵略行為を巧みに美化する戦術

 真実の記録と脚色を融合させることによる心理的誘導を

 後世に示す存在となった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。