映画に感謝を捧ぐ! 「沈黙(1963年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はイングマール・ベルイマン監督の「沈黙(1963年版)」に
感謝を捧げようと思います。
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列車で故郷を目指す姉妹と少年の運命を描いた本作は
コンパクトにして壮大な道中劇であります。
列車内&ホテル内という限定された空間の中で
主人公姉妹の純文学的会話と
周辺人物との「非会話系コミュニケーション」によって
進行していくストーリーと
ポルノ性、怪奇性、ファンタジー性が静かに絡み合う演出が
一体となる光景は
私に「状況説明的表現」を極限までそぎ落とし
物理的スケール感を抑制することによって生じる
精神的スケール感の広がりと
「鑑賞者に考えさせる」事を徹底追求した
表現法の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(登場人物の末路&心情に関する「手がかり」を示しつつ
曖昧化する事によって想像力&不安感を刺激する
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「純文学系空間限定型道中記」の究極形態を目指して
突き進む作品であると言えるでしょう。
「言葉」が通じない環境における心理
近くて遠い関係にある姉妹&親子のせめぎ合い
鑑賞者を格調高く幻惑する映像技に彩られた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。