映画に感謝を捧ぐ! 「タイム・ワープ(2009年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はヨルゴ・パパヴァッシリュー監督の

 「タイム・ワープ(2009年版)」に感謝を捧げようと思います。

タイム・ワープ [DVD] - ステファン・ルカ
タイム・ワープ [DVD] - ステファン・ルカ

 連続殺人犯を追う刑事「マイク・ブルンナー」と

 彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 奇想天外な発想とドイツの歴史が絡み合う

 SF映画であります。

 異常心理サスペンスと時間旅行系SFを

 つなぎ合わせることによって

 1980年代と2000年代を結ぶ絆と

 本来の理想からかけ離れた「共産主義」に支配された

 東ドイツの悲劇を写し出すという試みは

 私に、歴史教材性と娯楽性による共同戦線と

 「社会的狂気」を映画的に表現する手法の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (「過去」を変えることによって生じる諸問題に背を向けて

 能天気なハッピー・エンドへと着地する姿に

 驚かされる幕切れとなっている点も見逃せません。) 

 まさに「SF型ドイツ史入門」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 主人公に「科学要素」を無視した時間旅行をさせる豪快さと

 東西ドイツの複雑な関係、コンピューターの歴史

 「正義」を掲げる人間特有の残虐性を

 世に示そうという思いが結びつくことによって生を受けた本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。