映画に感謝を捧ぐ! 「タイム・ワープ(2009年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はヨルゴ・パパヴァッシリュー監督の
「タイム・ワープ(2009年版)」に感謝を捧げようと思います。
連続殺人犯を追う刑事「マイク・ブルンナー」と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
奇想天外な発想とドイツの歴史が絡み合う
SF映画であります。
異常心理サスペンスと時間旅行系SFを
つなぎ合わせることによって
1980年代と2000年代を結ぶ絆と
本来の理想からかけ離れた「共産主義」に支配された
東ドイツの悲劇を写し出すという試みは
私に、歴史教材性と娯楽性による共同戦線と
「社会的狂気」を映画的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「過去」を変えることによって生じる諸問題に背を向けて
能天気なハッピー・エンドへと着地する姿に
驚かされる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「SF型ドイツ史入門」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
主人公に「科学要素」を無視した時間旅行をさせる豪快さと
東西ドイツの複雑な関係、コンピューターの歴史
「正義」を掲げる人間特有の残虐性を
世に示そうという思いが結びつくことによって生を受けた本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。