映画に感謝を捧ぐ! 「忘れられた人々」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はルイス・ブニュエル監督の

 「忘れられた人々」に感謝を捧げようと思います。

ルイス・ブニュエル監督 『忘れられた人々』Blu-ray - エステラ・インダ, ミゲル・インクラン, アルフォンソ・メヒア, ロベルト・コボ, ルイス・ブニュエル
ルイス・ブニュエル監督 『忘れられた人々』Blu-ray - エステラ・インダ, ミゲル・インクラン, アルフォンソ・メヒア, ロベルト・コボ, ルイス・ブニュエル

 メキシコの一角で暮らす子供たちの運命を描いた本作は

 陰鬱さと多彩な技巧に溢れた子供映画であります。

 「実話系」風味漂う導入部

 青春映画、陰性ホームドラマ、極道映画の特性を融合させ

 効率的且つ冷酷に進行するストーリー

 サスペンス・ホラー・アクションの手法を

 組み合わせた映像技

 庶民的&極道的ムード漂う俳優&女優陣が一体となる光景は

 私に「大人社会の闇」に翻弄される子供たちの悲劇

 犯罪が「日常の営み」と化した世界の恐怖

 複数の物語をつなぎ合わせ、まとめ上げる妙技

 怪奇恐怖と社会的恐怖を結ぶ「絆」の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (淡々とした雰囲気の中に

 ホラー映画級の残酷さ&怪奇風味を感じさせる

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「極道系&技巧派日常劇」の究極形態を

 感じさせる作品であると言えるでしょう。

 

 社会派的説教を抑制しながら

 メキシコの暗部に迫る勇敢さ&バランス感覚

 人間模様を段階的に凶悪化&複雑化させつつも

 論理性を保ち続ける作劇力

 ストーリーの持つ魅力&恐怖を引き立てる映像技法によって

 後年の子供映画&極道映画に対する

 「道しるべ」の一つとなった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。