映画に感謝を捧ぐ! 「エル」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はルイス・ブニュエル監督の「エル」

 感謝を捧げようと思います。

エル [DVD] - アルトゥーロ・デ・コルドヴァ, ルイス・ブニュエル
エル [DVD] - アルトゥーロ・デ・コルドヴァ, ルイス・ブニュエル

 メルセデス・ピントの同名小説をもとにして作られた本作は

  

 文学的にして過激な愛憎劇であります。

 愛と疑心、ロマンスとサスペンス、男性心理と女性心理

 キリスト教に対する様々な思いが交錯する

 ストーリー&演出、キャラクター造形は

 私に「愛」に宿る天使と悪魔に迫る試みと

 幻惑的且つ純文学的なスリル&サスペンスの

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (癒し系のハッピー・エンドに属しつつも

 哀愁と不吉さを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「陰性文学系愛情&宗教論」の一翼を担う

 作品であると言えるでしょう。

 自分本位的な人生を歩み

 愛によって狂気に囚われていく男

 男に対し愛情と恐怖が入り交じった思いを抱く女性

 二人の思いに翻弄される人々の姿を

 宗教論、愛情論、異常心理論を融合させた作劇法と

 技巧性、神秘性、陰鬱性を兼ね備えた映像技を

 駆使して描くことに挑んだ本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。