映画に感謝を捧ぐ! 「ありきたりの映画」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジャン=リュック・ゴダール監督の
「ありきたりの映画」に感謝を捧げようと思います。
ありきたりの映画 [DVD] - ナンテールの, 人の学生, ルノー社フラン工場の, 人の労働者, ジャン=リュック・ゴダール
学生3人と労働者2人による論争を記録した本作は
実験性&思想性と皮肉に彩られた記録映像であります。
「五月革命」に関する論争を淡々と記録しつつ
論じる人々を抽象的に写す手法と
実在の記録&著名人による言葉の引用を行うことによって
熱気、クールさ、苦味に満ちた記録映像と化していく光景は
私に1960年代のフランス&世界を覆う「空気」の一端と
労働者と学生を隔てる精神的壁と
記録映像技法と娯楽映画技法の融合がもたらす科学反応の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(映画に対する皮肉を感じさせる題名と
勇壮さと哀愁、映像的刺激と社会派的メッセージ性が
交錯する幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「五月革命入門&政治的論争&階級格差講座」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
学生目線と労働者目線
「革命」を体験した人々ならではの説得力とある種の怪しさ
資料的映像活用術と純文学的メッセージ発信
娯楽的躍動感と教材的静かさがせめぎ合う本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。