映画に感謝を捧ぐ! 「しわ」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はイグナシオ・フェレーラス監督の「しわ」に
感謝を捧げようと思います。
パコ・ロカの小説「皺」をもとにして作られた本作は
陰鬱さと和やかさが交錯するアニメーション映画であります。
「高齢化社会」の暗部に迫る大胆さ
現実と「心の世界」、過去と現在を絡み合わせることによって
作品の持つメッセージ性を高めていく編集術
童話風味に溢れた絵柄が一体となった
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私にシリアスとユーモアの均整を保った「社会派作品」作りと
アニメーションの特性と実写的ムードが絶妙のバランスで
配合された作品世界の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「ハッピー・エンド」の装飾を施した幕切れによって
人間性に対する信頼を感じさせる作品となっている点も見逃せません。)
まさに「空間限定型社会派日常アニメ」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
ファンタジーと現実感、娯楽的サービスと社会派的警鐘
躍動感と見せ場主義のバランスを維持しながら
精神と肉体を結ぶ絆、人生&社会の光と闇を写し出す本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。