映画に感謝を捧ぐ! 「越境者」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はピエトロ・ジェルミ監督の「越境者」に

 感謝を捧げようと思います。

  

越境者 [DVD] - ラフ・ヴァローネ, エレーナ・ヴァルツィ, サロ・ウルツィ, フランコ・ナヴァッラ, ピエトロ・ジェルミ
越境者 [DVD] - ラフ・ヴァローネ, エレーナ・ヴァルツィ, サロ・ウルツィ, フランコ・ナヴァッラ, ピエトロ・ジェルミ

 職を求めてフランスを目指す人々の

 運命を描いた本作は

  

 苦味の利いたスリル&サスペンスに彩られた

 道中劇であります。

 家族劇、恋愛劇、冒険活劇の技法と

 社会派的メッセージを融合させる事によって

 生成されたストーリー&演出、キャラクター造形が

 娯楽性と文学性の均整を保ちながら

 進行する光景は

 私に「人生」に宿るドラマ性と

 資本主義に潜む魔性を映画的に表現する手法と

 娯楽的サービス精神と純文学的渋味が

 独特のバランスで並び立つ現象の一形態を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 

 (ハッピー・エンドに属しながらも

 「運命の犠牲」となった人々への思いと

 未来に対する不安を宿す

 幕切れとなっている点も見逃せません。) 

 まさに「イタリア流陰性道中劇」の一翼を担う

 作品であると言えるでしょう。

 陽気さと非情さ、アクション&サスペンスと人情

 イタリアの都会文化と地方文化がせめぎ合う本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。