映画に感謝を捧ぐ! 「人斬り与太 狂犬三兄弟」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は深作欣二監督の「人斬り与太 狂犬三兄弟」に

 感謝を捧げようと思います。

人斬り与太 狂犬三兄弟 [DVD] - 菅原文太, 田中邦衛, 三谷昇, 渡辺文雄, 深作欣二, 菅原文太
人斬り与太 狂犬三兄弟 [DVD] - 菅原文太, 田中邦衛, 三谷昇, 渡辺文雄, 深作欣二, 菅原文太

 

 敵方の組長を殺害し、懲役6年の刑を受けた

 暴力団構成員「権藤」と

 彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 和製極道映画史上屈指の「詩情ある狂乱」に

 彩られた作品であります。

 暴力団のビジネス組織化によって

 忠義故の「襲撃」を無価値とされ

 

 狂気に蝕まれながらも

 仲間に対する「一筋の情」を保ち続けようとする

 武闘派極道の生き様を

 

 凶暴且つ冷酷に描いていくストーリーと

 

 主人公と仲間たちの心情を沿いつつ

 暴力の残酷さ&醜悪さを写し出すかのように

 激しく揺れ動く映像技が一体となる光景は

 私に「物語と映像が最大限の相性で結ばれる姿」と

 「組織の論理がもたらす人心の崩壊」と

 「非暴力的な残酷さ&暴力的な人情味」を

 映画的に表現する手法の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (壮絶さ、虚しさ、人情味が独特のバランスで並び立つ

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに前作「現代やくざ 人斬り与太」の精神を継承しつつ

 後年の「仁義なき戦い」に通じる道を

 力業で切り開いた革命的極道映画であると言えるでしょう。

 

 善意&救済なき世界を自らの信念&本能の

 赴くままに突き進む男&女たちの姿を

 「現実的暴力描写の徹底追求」

 「鑑賞者の感情移入を全力で拒もうとするかのような

 キャラクター造形」

 「上層部と配下の精神的断絶&社会に拒まれた人間同士の絆」に

 対するこだわりの限りを尽くして描くことによって

 嫌悪、恐怖、哀愁の入り交じった感触をもたらす極道映画となった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。