映画に感謝を捧ぐ! 「書を捨てよ 町へ出よう」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は寺山修司監督の「書を捨てよ 町へ出よう」に
感謝を捧げようと思います。
書を捨てよ町へ出よう [DVD] - 佐々木英明, 斉藤正冶, 小林由紀子, 新高恵子, 寺山修司, 寺山修司, 寺山修司, 佐々木英明
寺山修司の同名著書をもとにして作られた本作は
1970年代の日本を覆う空気を写し出しつつ
創作文化を挑発する過激作であります。
MTV的表現法&純文学的暗示を多用し
物語的論理性&娯楽的魅力を徹底的に拒みながら
鑑賞者に語りかけてくるストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「作り手の精神世界」を極限まで反映した創作行為
「映画と現実を隔てる壁」を認識しながら
鑑賞者の心身に影響を残そうとする試み
「1970年代の反抗文化&娯楽映画の行き詰まり感」を
象徴する存在を後世に刻みつけるかのような作劇法&映像技の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「映画」に対する愛憎入り交じった思いと
現実への帰還宣告が静かに交錯する幕切れが
悲劇的結末とは異なる形態の虚しさを感じさせる点も見逃せません。)
まさに「和製純文学映画」の究極形態を感じさせる
作品であると言えるでしょう。
大規模映画会社が提供する
気晴らし的スリル&サスペンス+ロマンスや
和ませ的ユーモアを追求した映画とは異なる吸引力&神秘性と
自由感と閉塞感が共存するかのような気配に圧倒される本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。