映画に感謝を捧ぐ! 「1/880000の孤独」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は石井聰互監督の

 「1/880000の孤独」に感謝を捧げようと思います。

高校大パニック+1/880000の孤独 [レンタル落ち] - 梅津正信, 中村ジョー, 石井岳龍(石井聰互), 大屋龍二
高校大パニック+1/880000の孤独 [レンタル落ち] - 梅津正信, 中村ジョー, 石井岳龍(石井聰互), 大屋龍二

 東京の片隅にあるアパートで

 大学進学を目指す男の運命を描いた本作は

 和製青春映画史上屈指の「静かなる残虐性」を

 感じさせる一作であります。

 孤独なアパート生活の中で

 都会&学歴社会の暗部にさらされ

 精神的に崩壊していく男の姿を

 娯楽的アクション&ロマンス、見世物的残酷描写

 状況設明台詞に依存することなく

 淡々と写し出していくストーリー&演出は

 私に、社会&人生に対する恐怖&憎悪に

 取り憑かれていく心理を映画的に表現する試みと

 娯楽映画的魅力を極限までそぎ落とし

 作り手の内なる世界を前面に出した映画作りの

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (主人公の末路を抽象化することによって

 鑑賞者の悲観的想像力を刺激する

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「軽量級陰鬱系青春映画」の究極形態を

 

 感じさせる大いなる怪作であると言えるでしょう。

 日常劇、純文学小説、サスペンス、ホラーが

 混ざり合ったかのような苦い狂気に満ちた本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。